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ゲームやろうぜ!過去の記事 > 週刊やろうぜ!バックナンバー【第10回 06/01/11号】
 

ディレクターに聞け! ソニー・コンピュータエンタテインメント 第1制作部 上田文人

『ICO』、『ワンダと巨像』のディレクション、ゲームデザイン、アートディレクションを手がける。 「ワンダと巨像」公式サイト

空気の質感まで伝わってくるような緻密に作りこまれたビジュアルとシンプルかつ独自のゲームシステムで、日本国内はもとより欧米でも高い評価を得ている『ICO』と『ワンダと巨像』。2006年最初の「週刊やろうぜ!」は、"ゲーム"というメディアの持つ表現力の可能性を感じさせる両作品のディレクターであり、その生みの親である上田文人氏に話を伺います!

いきなり抽象的な質問なのですが、ビデオゲームに限らず遊びの楽しさを意識したポイントやきっかけとはなんだったのでしょうか。

上田:上手くできたルールの中で遊ぶというよりは、現実世界での遊びの体験や冒険といったルールの無いものに惹かれました。ビデオゲームに関していえば、ゲームの楽しさというよりはその作品から受ける感動であったり、作品の世界表現であったりするものに反応する子供でしたね。

“作り手”になることを意識したのはいつごろでしょうか。そのきっかけとなる作品や出来事があれば教えてください。

上田:きっかけといえば幼い頃に見て感動したアニメや漫画ですね。感動させる立場になることができればどれだけ素晴らしいことだろうと思ったのがきっかけかも知れません。また、とにかくモノを作るのが好きで生産者側になりたいと思っていました。

いろいろなメディアがある中で、作る対象を“ビデオゲーム”に決めた理由はなんでしょうか。

上田:いろいろ理由はあるのですが、最も大きな理由は開拓余地のある新しい娯楽メディアであるということです。ルーティン作業部分が少なく、個人の能力で大きな逆転が可能な産業でありメディアであると思います。

ゲーム制作を仕事にしようと思った時、どんな勉強や準備をしましたか?

上田:もちろん昔からビデオゲームは大好きでしたが、正直にいうと、ゲーム制作を仕事にしようという意識は特にあまりありませんでした。それよりはその時自分が持っていた知識や技術に上手く合致したという感じです。現代美術をやっていた頃の企画やコンセプトを考える楽しさと、純粋美術やCGの表現技術が上手く生かせるのがビデオゲームであったんだと思います。

学生の時に専攻して学ばれていたのはどのような分野ですか。また、ゲーム制作をする上で、どのような点が役立っていますか?

上田:大学の時に専攻していたのは抽象絵画です。とはいえ、そのゼミでは絵画である必要もないため、インスタレーションやインタラクティブアートの方に興味が移っていきました。僕の認識では現代美術というのは表現テクニックよりも企画アイデアやコンセプトが重要なので、それらを“考える”という思考はビデオゲームを作る上でも役に立っています。また、既存の表現を“疑う”という思考も大学で学んだものだと思います。ちなみに表現のテクニック部分でいえば大学以前に学んだ技術が主ですね。

ゲームを制作する過程において、ビデオゲーム以外に参考にしたりする物はありますか。

上田:制作中はビデオゲームを取り巻く全て(のことだけ)を考えています。しいていえば映画や音楽は娯楽メディアとしてビデオゲームに較べて表現技術、制作手法やマーケティングが確立しているので参考にしています。

CG映像を作ることとゲームを作ることには違いがあると思いますが、どのような点が最も異なるのでしょうか?

上田:当たり前ですが、プレイヤーが関与し変化するということが最も大きな違いです。また、ビデオゲームは制作手法や方法論が確立してないのが(CGに限らず)映像との違いですね。

「ゲームをデザインする」というのは、どういうことを意味するのでしょうか。上田さんの考える『ワンダと巨像』『ICO』をもとに“ゲームデザイン”について聞かせてください。

上田:企画立案、レベルデザイン、調整等、仕事はたくさんありますが、そのゲームの内容を言葉で伝える時にわかりやすく、フックがあるテーマやコンセプトを考える仕事だと思います。『ICO』でいえば女の子の手を引いて城から脱出するゲーム。『ワンダと巨像』でいえば巨大な敵に登って倒すゲーム。

多数のスタッフで構成されるゲーム制作の現場において、どのような人材が望まれるのでしょうか?

上田:もちろんセンスや技術も重要ですが、一番大事なのはサービス精神ですね。プレイヤーへのサービス精神は当然として、他スタッフに対するサービス精神も必須です。それ以外では情報収集が好きな人、仕事が早い人が望ましいです。

多くのスタッフをまとめ、目指すゲームをまとめる、ディレクターとして必要な資質とはどんなものでしょうか。

上田:目指しているものがはっきりしている人。

“ゲーム”という表現の魅力はどのような所でしょうか?

上田:やはり未完成であるところだと思います。まだまだ未開拓でいろんな可能性がある表現メディアであるところですね。

好きなゲーム、ベスト3とその理由を教えてください。

上田:たくさん有り過ぎて3つに絞ることは難しいですが、『レミングス』は昔からずっとかわらず好きなゲームの1つです。基本的にマネジメントするゲームはあまりやらないのですが『レミングス』だけは別です。

「ゲームやろうぜ!2006」のような試みについて、どう思いますか?

上田:新しい感性を持つゲーム開発者が来ることにより、既にゲームの制作現場で働いてる人たちへも良い刺激になると思います。また必然的に同じ志を持った人たちが集まることになると思いますので、そこから生まれる純度の高い商品に期待しています。

「ゲームやろうぜ!2006」に応募を考えている方へ、アドバイスをお願いします。

上田:そのアイデアが商品となった時、自分自身が一ユーザーとして迷わず欲しくなる、絶対買うというようなものでないといけないです。

ご協力ありがとうございました。


"PlayStation 2"用ソフト
「ICO」
2001年12月6日発売

"PlayStation 2"用ソフト
「ワンダと巨像」
2005年10月27日発売

次回予告

上田氏のインタビューにあるように、まだまだ未開拓で可能性を秘めた表現メディアである“ゲーム”。その可能性にチャレンジするクリエイターが次々と登場することで、更なる発展が期待されるところです。

2月28日(火)の応募受付締切に向け、いよいよ後半戦をむかえた「ゲームやろうぜ!2006」。次回の「週刊やろうぜ!」も、応募を考えている方をサポートする企画を準備中です。

お楽しみに!

 

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