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ゲームやろうぜ!過去の記事 > 週刊やろうぜ!バックナンバー【第13回 06/02/03号】
 

プロデューサーに聞け! 第1回 ソニー・コンピュータエンタテインメント 第1制作部 プロデューサー 海道賢仁

『ICO』、『ワンダと巨像』のプロデューサーをつとめる。ディレクター上田文人氏のビジョンを支持する、最大の理解者。
「ワンダと巨像」公式サイト

はたしてプロデューサーの仕事とはどんな内容なのか。『ICO』と『ワンダと巨像』という、世界的に高い評価を集めているタイトルをプロデュースする海道賢仁氏に、“ゲーム”が生まれてくる過程をプロデューサーの視点から語っていただきました。

まず、基本的な質問なんですが、プロデューサーとは実際にどんなお仕事をしているのですか?

海道:簡単に言いますと、「これはいける」という企画とクリエイターを見出して、企画を実現するためのバックアップをする。そして、出来上がった作品の魅力を、うまく伝えることが仕事です。また、スケジュールや予算の調整、制作スタッフが足りないなど、制作中のいろいろな問題点を解消するのも大事ですね。

『ICO』の企画の第一印象はいかがでしたか?

海道:『ICO』の企画はまず最初にムービーがあったんです。そのムービーは、上田(文人)さんがゲーム内容の説明用に、ほぼひとりで、しかも短時間で作りあげたものでした。それを見た時点で、他とは違うなにかがあるということがわかりましたね。

では、さっそく『ICO』や『ワンダと巨像』を軸に、ゲームが生まれるまでの経緯をお聞きしたいと思います。企画とクリエイターが固まったら、次は?

海道:社内でプレゼンをして企画の承認をもらうことですね。『ICO』や『ワンダと巨像』の場合は、説明用のハイクオリティな映像が最初にあったので、プレゼンテーションがしやすかったです。映像のインパクトで、作ろうとしているゲーム内容や特徴が、十分、人に理解してもらえるんです。あとはスケジュールや予算の説明を加えるだけですね。

見事に企画が通ったら、いよいよ実制作がスタートですね。

海道:制作スタッフを編成して、チーム作りです。『ICO』制作スタート時は母体となるチームもありませんでしたから、プログラマーやデザイナーをいちから募集しました。具体的にゲームの方向性が決まらないと、欲しい人材も見えないですし、特殊な能力を持つ人材はなかなか見つからない。チーム作りは難しいですね。


■2004年に行われた『ワンダと巨像』制作発表会の1コマ。

実制作の中で、海道さんがプロデューサーとして気をつけた部分はどこでしたか?

海道:具体的に何をしたかと言われると難しいんですけど、ディレクターの考えとプロデューサーの認識を揃えるということでしょうか。……当時の『ICO』は、過去に類のないまったく新しいゲームだったんです。だから、最初はなかなかディレクターの上田さんが描いている完成図が見えませんでした。お手本がないものを作ることは、制作的にも非常に困難ということもありましたが。その中でも、ディレクターの上田さんは最初から最後まで「目標」をしっかりと保っていた。僕にとっては上田さんが考えている「作りたいもの」を実現できるように、考えをすり合わせていくことが大事でした。


■『ワンダと巨像』チームスタッフで乗馬体験取材中の一コマです。(海道)

『ICO』と『ワンダと巨像』において、プロデューサーの仕事は違いましたか?

海道:『ICO』のときは、僕らはルーキーチーム(新チーム)だったんですね。それもあって、僕らは、考えているゲームを完成させ、それを世に問うという立場だったんです。しかし、『ワンダと巨像』のときは『ICO』を作ったチームの次作という世の中の期待がすでにあって、それに応える必要がある。しかも内容は、『ICO2』のような続編ではなくて、新作で。『ICO』で積み上げた上田さんをはじめとするチームブランドを、いかに『ワンダと巨像』の期待値につなげていくか、それをユーザーの皆さんに理解してもらえるか、というのが課題になりました。

前作の期待に応えながら、新作というのは非常に難しそうですね。

海道:『ワンダと巨像』は上田さんが最初に描いた、「巨大なものによじ登って戦う」という根本のアイデアに十分なフックがあったので、安心してすすめられました。上田さんがディレクターとしてすばらしいのは、最初のアイデアから完成まで基本となるアイデアがずれないところです。ただ、またしても『ICO』のように、お手本となるべき前例がないゲームだったので、ゲームデザインの試行錯誤やクオリティアップにかなり時間がかかりましたが、そのあいだもちゃんと作り続けられるように注力しました。

作り続けられるようにというのは、チーム内のモチベーションのことですか?

海道: それもありますが、チームの外のことなんですけど、やはり社内でのチームやプロジェクトに対する期待値を維持しておくことが大事なんです。「このチームはこんないいものを作っていますよ」と社内でもアピールし続けて。制作に時間がかかってしまっても、その間に社内での期待を色あせさせるわけにはいかないですからね。完成後の販売や宣伝の方の意気込みも変わってきますし。また、そういった社内評価が、チーム内のモチベーション維持にもある程度役立っていると思います。
チーム内のモチベーション維持もなかなか難しい問題ですが、優秀なスタッフ達ですので基本的にはあまり心配していないですね。それでもモチベーションが下がっているスタッフがいるとしたら、何か個別の問題で迷っている人ですね。そういうときは、問題を整理して、優先順位を決めるお手伝いをして解決を図るということになります。問題があるときは、俯瞰して見れば、解決手段が見えると思います。


"PlayStation 2"用ソフト
「ICO」
2001年12月6日発売

"PlayStation 2"用ソフト
「ワンダと巨像」
2005年10月27日発売

次回予告

海道氏のインタビューはまだまだ続きます。次回は海道氏がなぜプロデューサーになったのか。そして、彼がゲーム作りに対してこだわっている部分はどこなのかについて、さらに迫ります。

お楽しみに!

 

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